タグ: 岐阜

  • エモへの旅 Vol.3

    エモへの旅 Vol.3

    〜前回までのあらずし〜

    Tの結婚式で新婦へのサプライズムービーを制作すべく、一日弾丸地方ロケを敢行することに決めた我々。

     

    3月の週末、私は早朝の品川駅にいた。

     

    ここからサプライズムービーのロケは始まっているのだ。

     

    撮影カメラマン役を担う私は品川駅の風景をいろんなアングルから撮っていた。

     

    サプライズムービーのストーリーが「新郎Tが”昔の君(新婦)”に会いに行くために新婦の故郷に行って色んな人に話を聞く」というものだったため、品川駅から新幹線に乗るシーンもしっかり撮影する必要があるのだ。

     

    ホームで新幹線に乗り込むシーンから撮影する我々。

     

    「エモい」カットを撮るためには人物や対象を画面の端に配置して撮影する手法が効果的と巨匠からアドバイスを受け、常に意識しながら慎重に撮影を行った。

     

    気分はもう短編映画を撮影する監督兼カメラマンの気分である。

     

    しかしこんなにいろんなところでビデオカメラを構えてたら他の人からはYoutuberかなんかか?と思われるのでないかと思い、気が気でなかった。

     

    少し気恥ずかしかったが、迷惑をかけない程度に図々しく撮影して行くしかない。

     

    注意されたら速やかに撮影を中止するなど気をつけるようにしよう。

     

    新幹線の車内でも撮影。

     

    ぶっちゃけあいつら何してるんだこんなところで?と思われたかもしれない。

     

    すいません。

     

    でも僕らはエモいムービーを作らなくちゃあいけないんです!

     

    なんとか見逃してください!

     

    と心で思っていた。

     

    車窓から撮影したエモい風景。

     

     

    撮影の合間に映像制作担当のSにSDカードを渡し、映像制作ソフトに素材としてPCにダウンロードしてもらう。

     

    ものの10分くらいで音楽を乗せた導入の映像サンプルが出来上がる。

     

    す、すごいぜS氏!

     

    ていうかビデオカメラとパソコンがあれば結構簡単にすぐ映像作れちゃうんだなぁ。・・・

     

    いやー文明の利器ってすごいわ。

     

    1時間半ほどで名古屋に到着した我々。

     

    名古屋駅で新婦の後輩ちゃんたち・新婦の親友でサプライズムービーを協力してくれるAちゃんと合流。

     

    おしゃれなスタバで待ち合わせし、そこで撮影・インタビューすることにした。

     

     

    インタビューは全然問題ないと思うがスタバで撮影なんて、「他のお客様の迷惑になりますので・・」とか言われて中断を余儀なくされるかと思いきや、店員さんからも全く注意を受けず、他のお客さんからもクレームみたいなものはなかった。

     

    どんだけ心広いんだ名古屋のスタバ!!

     

    かなりオープンで広い店舗だったから大丈夫だったのかな・・・?

     

    巨匠から教わったエモ撮影テクニックで、以下の手法も実践した。

     

    ・手前に花瓶やマグカップをぼやけた状態で映し、インタビュー風景を撮影するだけでエモくなる。

    ・カメラの大体2m先にピントを合わせて、遠くから人を歩いて来させる(カメラに近づいてちょうど2mくらいの距離で焦点があう)だけでエモいカットが取れる。

     

    いつの間にかクリエイタースピリットが醸成されてしまい、いいカットを撮ることにこだわるようになって行った。

     

    しかしピント距離合わせ機能を自動から手動に切り替えるやり方を覚えてからズブの素人のなりきりクリエイター病が悪い方向に暴走し始める。

     

    後輩ちゃん達とのインタビューを楽しく和やかに終え、我々は次の場所へ向かった。

     

     

    岐阜県某市で新婦の高校時代の恩師と待ち合わせし、インタビュー・撮影をする我々。

     

    この日は素晴らしい好天に恵まれていた。

     

    えせカメラマンの私は調子に乗って撮影をしていたが、ピント調整機能の使い方を間違え先生の顔がピンボケどころか完全モザイクで映ってしまっているカットがありお蔵入りしたのは後日談だから話せることである。(先生ごめんなさい)

     

    しかし会う人みんないい人すぎるよ。

     

    新婦はこういう人たちに囲まれ穏やかでのびのびした青春を過ごしたのだなぁと思うと、人の人生の歴史を追体験させてもらってるような気がしてそれこそエモかった。

     

    これまたエモい”赤い電車”を撮影し撮り高を稼ぐ私。

     

     

    この後新婦が通った高校に行ってクラスメイトにインタビューした後、なんと新婦のご実家!にお邪魔してお茶菓子まで出してもらってしまった・・・!

     

    我々なんの関係もないのに笑・・! その時お土産でもらったお菓子がめちゃくちゃ美味しかった。

     

    栗きんとん・栗菓子 恵那川上屋/公式オンラインショップ

     

    青い山脈シリーズのアンガディーネめっちゃくちゃうまかった。

     

    東京にも支店があるらしいので今度行こうっと。

     

    最後は中学校で新婦の同級生と待ち合わせての撮影だ。

     

    その中学校が最高にエモくてまるで「君の名は」での世界が現実に抜け出てきたのかと思うほどセンチメンタルなロケーションだった。

     

    しかもちょうど夕暮れ時ですごいいい雰囲気。

     

    在りし日の学生時代の思い出がフラッシュバックするような不思議な感覚だった。

     

    エモすぎる景色。

    こんな場所で過ごせる学校の生徒羨ましい・・・!

     

    新婦親友Aちゃんの素晴らしいブッキング・ガイドを得て無事我々は名古屋でのロケを終えた。

     

    夕飯を作るために日帰りで帰路につく新郎を見送り我々4人の撮影隊は打ち上げに向けてまず腹ごしらえ。

     

    名古屋といえばまずここ、納屋橋の山本屋本店の味噌見込みうどんである。

     

    山本屋本店 広小路伏見店 -伏見/うどん[食べログ]

     

     

     

    味噌煮込みうどんを、食す。

     

    無料でおかわり自由の浅漬けがまたうまいのだここは。

     

    腹ごしらえを終えた後、我々は今宵の宿に荷物をおきにいく。

     

    KがAir bnbで予約した「民泊」ホテルに初宿泊である。

    Guest House 1min Sengen

     

     

    非常に綺麗で快適なゲストハウスだった。 設備は充実してるし一人じゃんけん負けた人が二段ベッドという罰ゲームがあったものの、これで一人当たり6千円は下手なビジネスホテル泊まるより全然ありだなぁという感想。

     

    この後我々はお約束の「味仙」にいき、コブクロやら青菜炒めやら台湾ラーメンやらおなじみのご当地グルメビブグルマンを堪能した。

     

    味仙 矢場町店(ミセン) -矢場町/台湾料理[食べログ]

     

     

    撮影も無事終わり我々は開放感に満ち溢れていたのだろう。

     

    カラオケで歌ったりHUBにいき普段絶対に注文しないやたら長いビールを一気飲みしたりして、気づいたらガールズバーで若いガールズバー店員の言いなりパパが如く酒を奢りカラオケをリクエストし、気がつけば巨額の財産を溶かしていた。

     

     

    ガールズバーは行かなきゃよかった。

     

    しかし行ってよかったというような気もする。

     

    こういう矛盾するような割り切れない気持ちを抱えることもある種の「エモさ」なのかもしれない。

     

    思ったより歌がうまかったガールズバーの店員。

    思ったよりはるかに高かったガールズバーの会計。

     

     

    こうしてエモさを探した僕らの旅は幕を閉じた。

     

    でもやることはこれからが本番だった。

     

    ・・・と思っていたがアマチュア映像制作の最高峰Sが動画編集ソフトで超ハイクオリティのサプライズムービーを短納期で作ってくれた。

     

    もう僕がすることはあんまりなくて岐阜ロケで取れなかった画を2、3カット別日にとるくらいだった。

     

    全体が出来上がった段階で巨匠に確認してもらい、細部を調整することでとうとうサプライズムービーが完成した。

     

     

    後は結婚式当日にこの動画を流し、花嫁はもちろんのこと、会場全体が感動の涙に包まれれば我々の一切の苦労は報われるのだ。

     

    しかしこの時は、このプロジェクトに関わった誰もが当日起こることを全く予想できなかったのであったー。

     

    Vol.4に続く。