ダンケルクを見た理由
こんにちは。 masakuroyです。
芸術の秋と言いますが、見たい映画が立て続けに公開されました。
「ダンケルク」「散歩する侵略者」「三度目の殺人」です。
全て同じ日に封切られ、何を見るか正直かなり迷ったのですが、一番制作費がかかってそうなダンケルクを見ることにしました。
嘘です。
そんな理由でダンケルクに決めたわけではありませんが、CGを使わずに徹底的にリアルな撮影にこだわり、その圧倒的なオリジナリティから世界でもっとも注目されている映画監督であるクリストファー・ノーランがメガホンをとっているので、ダンケルクにしようかなと思ったのです。
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以前観た「ダークナイト」も故ヒース・レジャー演じるジョーカーの鬼気迫る迫力と臨場感あふれる映像が凄くて印象に残りまくってますし、「インセプション」の映像表現もマトリックス以来の衝撃でした。
“この人の映画は一筋縄ではいかない。絶対想像を超える何かがある”と期待を抱かずにはいられない映画監督ですね。
そんなこんなで公開初日、レイトショーで観てきました。
話題作なので予約取れないかなーと思ったのですがレイトショーはさすがに空いてました。
本当はIMAXで見たかったのですが、いい席が埋まっていたので泣く泣く2Dシアターに。
(多分IMAXで見た方がいいと思います!)
映画『ダンケルク』は殆どの映画館で上下約40%の映像がカットされる件
ダンケルクがどういう話か簡単におさらいします。
第2次世界大戦初期、イギリス・フランスの連合軍はダンケルクというフランスの港町に包囲され、絶対絶命の状況を迎えるのですが、時のイギリス首相チャーチルが撤退を命じて、ドーヴァー海峡を渡ってなんとかイギリス帰還を目指す、といういわば”撤退戦”を描いた映画なんですね。
「ダンケルク」特集クリストファー・ノーラン インタビュー(1/3)-映画ナタリー
生きて故郷に戻ることを唯一の希望として、必死になって逃げる若者たちが主役です。
私が映画を見て感じた感想を挙げていきましょう。
感想1:臨場感がすごい
この映画は”あたかも観客の自分も兵士の一人として戦場にいる”かの様な臨場感の演出に相当こだわっているので、説明的な部分はほとんど省かれています。
主人公たちのセリフもほとんどと言っていいほどありません。
しかし現実ではそんなにベラベラ喋ったりできる余裕がないため極めてリアルだと思います。
またこの映画の特徴的なもう一つの演出が「陸海空」の3視点で撤退戦の攻防を描いている点です。
ナスDで話題のテレ朝のバラエティ番組じゃありませんが、陸・海・空でめまぐるしくシーンが入れ替わるため、ダレた展開は一切なく、常に緊迫しっぱなしでなんとか映像に食らいついていくのがやっとなのです。
しかも時間軸が陸海空で全て違うんです。
感想2: 3つの時間軸の違うストーリーが同時進行する
陸はダンケルクの港からイギリスに向かう船に乗るための奔走する若い二等兵たちの1週間の話で、海はイギリスの港から兵士を救うために駆り出された民間船がダンケルクに向かう1日の話、空はダンケルクからイギリスに帰還する船を援護するためにドイツの戦闘機メッサーシュミットと大空のバトルを繰り広げるイギリスの戦闘機スピットファイアーのパイロットが経験する1時間の話なんです!
三つの時間軸が違うストーリーが同時に展開されるってすごい演出ですよね。
さすが鬼才クリストファー・ノーラン・・恐るべし。
感想3: CGを使わないリアルすぎる映像
この映画はできる限りCGを使わないリアルな演出にこだわっていて映像のリアルさが尋常じゃないんです!
いわゆる戦争映画にありがちな兵士が負傷して内臓出ちゃう的なグロテスクな表現は皆無なのですが、耳元をつんざくような銃声の音、無防備な兵士を狙う爆撃機からの機銃掃射、爆撃や魚雷によって沈没する戦艦から海に飛び込む人々の群れ・・・
このテクノロジーやCG全盛の時代だからこそ、加工されていない”生”の映像の迫力が半端じゃない!
まるで自分のすぐ横を銃弾が通過していくかのような感覚に鳥肌が立ちます!
何よりもすごいのがメッサーシュミット対スピットファイヤーのエアバトル!!
ホンモノの戦闘機を借りてカメラを取り付けて撮影しているので、自分が本当に戦闘機に乗っているかのような感覚を味わえます!
目の前にいる敵機を追いかけている時の圧倒的なリアルな感覚を追体験できるのがすごい!!
コクピットの映像も恐らく飛んでいる実際の映像なので、機体の揺れとか音がリアルすぎて怖すぎる!!
というかスピットファイヤーがかっこよすぎる!!
恐らくこの映画を見た人の8割はスピットファイヤーファンになったでしょう。
この手に汗握るリアルなエアバトルは映画の魅力を2倍3倍にも高めたでしょう。
感想4: 若く無名な俳優を大胆に抜擢している
この映画のメインキャストの一人はフィン・ホワイトヘッドという国際的に無名な若手俳優。
1年半前まで皿洗いしながらオーディションに通っていたというまだ二十歳そこそこのまさに俳優の卵ですが、今作に大抜擢されました。
陸パートで出てくる俳優はほぼ無名な若手ばかりですが、それがこの映画を本当にリアルなものにしていると思いました。
先入観なく見れますし、戦場で悲惨な目に会って割を食うのは「いつも名もなき若者」だということを暗に言いたかったのではないでしょうか。
また世界的なアイドル「ワン・ダイレクション」の一員だったハリー・スタイルズも主演しているのですが、アイドル臭さはゼロで、戦場で極限状態に追い込まれる若者を好演していました。
若手俳優は皆主張しすぎることなく抑制された自然な演技で、素晴らしい仕事でした。
なんとか脱出するために色々と手を尽くすのですが、その度に失敗して振り出しに逆もどりという絶望的な状況に陥るのですが、彼らの若さと何度でも希望を捨てずに立ち上がる姿がスクリーンから悲壮感を払拭していた感はあります。
感想5:極限状態で発揮される人間らしさ
生きることに貪欲で、希望を捨てずに困難に立ち向かう「漢達」の姿は、本当にかっこよかったです。・・
フィンやスタイルズはもちろんのこと、空パートで味方を守るため果敢に敵機に挑むファリアとパートナーを組むコリンズの絆、自ら命の危険を冒してまで兵士達の救出に向かう民間船のいぶし銀の船長・船員たち。
この映画には使命感を持ったかっこいい真の漢達が満載でした。・・・・
兵士たちは何度も窮地に追い込まれ、その人間性を試されるのですが味方のために体を張ったり、助け合って困難を乗り越えていく姿は胸を打ちます。
人間であることを放棄せざるを得ない極限状態にもかかわらず、自らの信念に則って行動する姿には本当に勇気をもらいました。・・・
自分が人としてどうありたいかを再認識させてくれる映画でもあるのだなぁとも感じました。
戦っているのは兵士たちだけでなく、遊覧船で救出に向かう船乗りのミスター・ドーソン、ピーター、ジョージも「ひとりでも多く助けて、イギリスに帰る」という使命感とプライドを持って戦っているのです。
ひとりひとりの登場人物からにじみ出る”熱さ”に胸が熱くなりました。
感想6:音楽が素晴らしい
この展開がめまぐるしい映画の魅了をさらに高めるのが映画音楽の巨匠ハンス・ジマーの劇中音楽です。
もう、緊張感を煽りながら映画のシーンに完璧にマッチする音楽が素晴らしい!!
まるでJAWSのような迫るくる敵や恐怖を煽るような繰り返しの旋律や、一秒を争う状況で「チッチッチ」みたいな秒針を思わせる効果音の演出が憎い!
私は映画を観ることに集中しながらも、過剰にならずとも緊迫感を更に増幅する音楽の素晴らしさにずっと感嘆していました。
感想おまけ: フランス兵の扱いがひどい
イギリス目線で描いているからかもしれないんですけど、連合を組んでいるフランス兵の扱い方がちょっとひどいなと思いました。・・・
まぁ実際の戦場のリアルな状況を描いていたのかもしれなかったですけど。
救護船に乗りたいのに「イギリス兵だけだー! フランス兵はフランスの船に乗れー!」とか言われて乗せてもらえなかったり、ネタバレになっちゃうので言えないですけど他にもかわいそうなことがありました。
これはフランスの人観たら怒るんじゃないの?笑 とか思いましたけど、そんなことないんですかね〜
フランスの立場から見たダンケルクも見てみたかったですね!
最後に
とまぁ色々書いてきましたけど「映画観たっ!!」という濃厚で充実したあっという間の2時間を体験したかったら是非ダンケルク見てみてください!!
こいつは本当に傑作ですわ・・・
それでは!
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