乙です。 masakuroyです。
先週レイトショーで「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を観ました。
参照:映画.com
見終わってすでに一週間が経ちますが、未だに余韻が覚めません。・・・
それほどまでに心に深いひだのようなものを残す映画でした。
マンチェスターと言ってもあのサッカークラブとオアシスで有名なイギリスの街ではなく、「マンチェスター・バイザシー」というアメリカ・ボストン近郊の街の名前なんですね。
映画はこのマンチェスター・バイ・ザ・シーを舞台に展開される話です。
ボストンでアパートの便利屋として生計を立てるリー(ケイシー・アフレック)は、無愛想で死んだような眼をしていて、人生に無頓着といった感じで日々を過ごすアラフォーの男。
たまにバーに飲みに行っても女性の誘いにも乗らず、「目があった」という理由で他の客に喧嘩をふっかける、どうしようもなく扱いにくい男です。
そんなリーですが兄の危篤の連絡を受けて、久しぶりに故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ることになります。
もともと心臓に問題を抱えていたリーの兄・ジョーは治療の甲斐も空しく亡くなってしまいます。
兄を慕っていたリーは悲しみに打ちひしがれますが、ジョーの妻は蒸発していて、息子のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)はまだ高校生のためジョーが亡くなった後の手続きをリーが請け負うことになります。
葬儀やお墓など諸々の手配のためしばらく街にとどまることにしたリーですが、ジョーの遺言状で事前に相談もなくパトリックの後見人に指定されていたことを知り、戸惑います。
リーはこの故郷の街で過去に何かがあり、「見ろよ、あれが例のリー・チャンドラーだぜ・・・」と街の人に噂をされるような存在。
居心地がいいはずがないリーはパトリックをボストンへ転居させようとしますが、マンチェスター・バイ・ザ・シーで高校生活を謳歌するパトリックは頑としてその提案に反対します。
「僕はここに2人のガールフレンドがいて自分のバンドもホッケーチームもある。 おじさんの仕事は便利屋だろ? どこでも出来る」
と生意気な口を聞くパトリックにリーは手を焼きます。
世捨て人のようなリーですが、過去には家族を持ち、兄や大勢の友達に囲まれながら、ささやかながら幸せな生活を送っていたことが明らかになっていきます。
そんな快活でお調子者でもあったリーを変えてしまった過去の出来事とは何なのかー。
この作品はアカデミー賞主演男優賞(ケイシー・アフレック)と脚本賞を受賞していますが、ケイシー・アフレックの演技とケネス・ロナーガンの脚本は本当に素晴らしいです。
ケイシー・アフレックの渋みと影のある40男の演技が堪りませんね・・・!
参照:FASHION PRESS
隠せない顔のシワとか体のだらしなさとか40男としてのリアルさがとてもいいです! ^-^
影のあるイケメン俳優はやはり絵になりますね。。。
この影のあるダンディーさは憧れます。 爪のアカを煎じて飲みたい・・
また少ししゃがれたような声も素晴らしく魅力的ですね。
この映画はもともと製作に参加しているマット・デイモンが主演することになっていたようですが、スケジュールの関係で降板し、ケイシー・アフレックに主演を譲る形になったのだそうです。
授賞式では「主役を譲ってもらって感謝する」とケイシーも言っていたようですが、結果的に本当に良かったと思います。
マット・デイモンだとまた全く違った印象になっていたと思いますから・・・
しかしマット・デイモンは「グッド・ウィル・ハンティング」の再来のようなヒューマンドラマを作りたかったのかもしれないですね。・・・
マンチェスター・バイ・ザ・シー特集:満を持して公開される本年度アカデミー賞《主要部門受賞作“最後”の作品》マット・デイモンが紡いだいくつもの奇跡が生んだ、珠玉の再生物語
奔放な高校生のパトリックを演じるルーカス・ヘッジズのフレッシュな魅力も、ケイシーのいぶし銀さと好対照でいいスパイスになっています。^ー^
脇を固めるジョー役のカイル・チャンドラー、ランディ役のミシェル・ウィリアムズもさすが実力派俳優、素晴らしいですね!!
個人的にリーとジョーの友人でめっちゃいいおっさんジョージ役のC.J.ウィルソンの演技が温かみがあって非常に好きだったのですが、全然経歴でてこないですね・・?
すごいいい味を出していたんですがそんなに有名な俳優じゃないのかな・・
確かにこの映画は地味ですし、スペクタクルも胸躍る冒険活劇も、胸も焦がすようなラブストーリーもありません。
どこにでもいる凡庸な一人の中年男の、凡庸な街を舞台にした個人的なストーリー。・・・
字面にしてみればそれだけなのですが、映画が終わる頃にはリーやパトリックを始めとする街の人々とマンチェスター・バイ・ザ・シーという街が愛おしくて胸がいっぱいになっていました。
まるで海辺の美しい街・マンチェスター・バイ・ザ・シーが自分の故郷で、登場人物が自分が子供の頃から知っている人々のように親しみを覚え、懐かしさのような感情で胸が締め付けられるのです。
厳しい冬の寒さに見舞われるマンチェスター・バイ・ザ・シーの風景・そして人々の生活をそっと見守るかのような穏やかな海の描写。
また時折流れるブラスをベースにした教会音楽のような美しいBGM。
美しい映像と音楽が絶妙に珠玉のストーリーと絡み合い、物語を盛り上げます。
反発し合いながらも、お互いが家族としてかけがえのない存在になっていくリーとパトリックの、ユーモラスなやりとりも見ていてとても微笑ましくなります。
父親が亡くなりながらも、決して気落ちすることなく前を向き、自分の人生の春を謳歌しようとするパトリックに、リーも羨ましいような、何かに気づかされるような表情を見せます。
リーがパトリックに人生の先輩として教えることもあるし、パトリックから逆にリーが図らずとも教えられることもある。
とても理想的な関係のように思えます。
この映画のオープニングとラストシーンはとても示唆的だと思うので、これから観る予定の人はしっかり観ていただきたいと思います。
そしてこの映画を観た人と、「あなたはどのように感じたか? リーの考えた結論をどう思うか?」など語り合えればそれは素晴らしい時間になるでしょう。
この映画を観終わる頃には、あなたにとっても「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は心の引き出しに大事にしまっておきたくなるような、特別な思い出になっているはずです。
では、あなたと語り合える日を楽しみにこのブログを閉めたいと思います。
最後にマンチェスター・バイ・ザ・シー公式サイトの言葉を引用してー
”きっとこの映画は、ずっと忘れがたい一本になる。”
Fin.
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