エモへの旅 Vol.2

エモへの旅 Vol.2

〜前回までのあらずし〜

友人Tの結婚式が1ヶ月半後に迫る中、余興の依頼を受けて凍りつく我々。
果たしてこの短い準備期間で納得のいく余興を作り上げることができるのか?!

 

余興を引き受けてから我々は急ピッチで準備を進めることになった。

 

なにせまだ何をやるかも決まっていないのだ。

 

定番のダンスや出し物も意見に上がったが、会場にそれだけ広いスペースがなさそうということで却下になった

 

また以前私が手がけた余興ダンスのクオリティを新婦から酷評されていたこともあり、最初からあまり当日会場で出し物をする気はなかった。

 

それではと、新郎から新婦に送るサプライズムービーを制作しようという方向性になった。

 

どんなサプライズムービーを制作するのか?

 

それはやはり新婦に内緒で新婦の故郷に赴き、生まれ育った場所をめぐり地元の友達にサプライズ出演してもらうというものだ。

 

しかしそれをどのようなストーリーで作るのか?

どんな演出で、どんな音楽を使い、どんなトーンなのか?

お笑い系なのか? ドラマ調なのか? ドキュメンタリー調なのか?

 

この辺に関しては議論を重ねたものの、皆が完全に納得するようなプランは出ず、余興作りは難航した。

 

新婦がバスケ部で地元で会う友達や恩師もバスケ関係ということで、スラムダンク」のBGMをバックに彼らに次々とバスケ対決を挑んで行く動画を作ろうという方向性で進めようとなったのだが、”本当にこれでいいのだろうか?”という疑問を拭えないままその場は散会した。

 

バスケをやるのでボールやらユニフォームやらを準備しようという段階で、新郎から共有メッセンジャーに一通のメッセージが送られてきた。

 

「テーマはエモや」

 

メッセージと共に一枚の画像が送られてきた。

 

それはプロが作り上げたとしか思えないクオリティの絵コンテだった。

 

 

な、なんだよこんなの作れたのかよ。、、

俺も手書きのポンチ絵で絵コンテ描いてたけど天と地ほどの差やないかい。

 

↓masakuroyのポンチ絵絵コンテ。

 

 

その絵コンテに書かれていたストーリーはまるで映画”君の名は“のようなエモーショナルなシーンが多く感情を揺さぶられるものだった。

 

Tはどうやら自分たちで考えた余興のクオリティに「まずいと相当な危機感を覚えたようで仕事でつながりがあったアートディレクターに泣きついたらしかった。

 

その結果、出てきたのがプロ仕様の絵コンテだった。

 

後日絵コンテをもとにどのように映像を撮ればいいのか絵コンテを作ってくれたデザイナーさん通称”巨匠“にTと話を聞きに行った。

 

巨匠はカウボーイハットがよく似合ういかにも業界人らしいファッショナブルな人だった。

 

とあるコーヒー店で打ち合わせをした時巨匠がタバコをくゆらせながら言った。

 

「大事なのはエモさなんだよ」

 

“エモい”という言葉が若者の間で流行ってるが、もともとは音楽ジャンルを表す言葉が派生して「ヤバイ」みたいな意味で使われているらしい。

 

しかし我々が余興ムービーで追及していくのは文字通りの「エモさ」、”動画を通して人の感情・感受性を揺さぶるもの”を作ることだ。

 

エモさが最も重要なテーマであることは明白だったが、いかんせん業界人でもなんでもないTや我々には知識がないためまず「エモさ」とはどういうことかを共通理解することから始まった。

 

我々がエモさを理解するための一助となった記事を下記リンクより参照されたい。

 

エモい文章を書くための24の視点 -sentence- Medium

 

我々は巨匠からエモさを象徴する映像や音楽的な要素を教わった。

 

例えば「君の名は」に使われているRADWIMPSの「なんでもないや」「スパークル」はまさに「エモさを連想させる音楽」のそれだ。

 

また動画のテーマは「昔の君に会いにいく」というものだったため、状況が近しくかつエモさがよく現れている動画を我々が目指すべきターゲットに据え、繰り返し見ることで「エモさ」を体になじませていった。

 

参考にしたミスターチルドレンのショートムービー。

映像や構成にエモさが随所に溢れ出ている。

 

 

新婦の故郷ロケの日程も決まり、新婦の友人に内緒で地元の友人のインタビューアポをとってもらっていた。

舞台は整った。

新婦の故郷は岐阜であり、名古屋に長く住んでいた私にも馴染みのある土地だ。

 

果たして僕らは追い求めるエモさを見つけることができるのだろうか。

 

岐阜で何が僕らを待っているのだろうか。

 

新郎を巻き込んだ(というより新郎主導の)余興ムービーは無事完成するのだろうか。

 

運命の輪はすでに回り始めていたー。

 

Vol.3に続く

 

 

 

 

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