3月X日、私は早朝から電車である場所に向かっていたー。

千代田線から常磐線に乗り入れ、人もまばらな旧式車両の電車に揺られること十数分。

窓の外には東京下町は葛飾区の、雑多でアジアを思わせる独特の風景が広がっていたー。

そして、私は気付くととある駅で降りていた。

 

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金町駅ー。

いつだろう、前にも来た気がする。

そうだ。 私がまだ若かりし頃当時所属していたラグビーサークルの試合がこのあたりであったのだ。

そして会場の最寄り駅が金町だった。

ここからバスに揺られて河川敷にあるグランドに向かったものだー。

 

それは10年程前の話である。

しかしなぜ、私は今金町駅に来たのか?

金町駅の看板をスマホで撮影しながらしばらく自問自答してみた結果、思い当たる節が見つかった。

 

そうだ。

今日はここで「タッチラグビー」の大会があり、その大会に出場するために来たのだー。

 

タッチラグビーはラグビーによく似たスポーツで、海外では盛んらしいがまだ日本ではそんなに普及していない競技らしい。

 

私は待ち合わせ場所のドトールで、S、K、Tと合流した。

 

彼らはこの日に備えて練習を行い、普段も走ったりしてコンディショニングをしてきたようだった。

 

彼らの目線からは否応なく、未だ一応現役ラガーマンとして活動する私に期待しているのが感じ取れたー。

Sとて往時は「埼玉が生んだ和製ジョナ・ロムー」との異名を持ち、試合に出ればノー・ホイッスルトライか、豪快にハムストリングを損傷して負傷退場するという両極端な大型WTB・スピードスターとして活躍していたが、今やだいぶ丸くなってしまい(見たまんまの意味で)その面影はない。

Kも高校時代はラグビー部で素晴らしい運動能力・センスを発揮し県代表になるレベルだったが、今や見る影もなく細く、彼がラグビーをやっていたと言っても誰も信じないだろう。

体育会系というか私文化系です・渋谷系ですといったオーラが漂っている。

Tも直近でメンタルコンディションがズタボロであり、お世辞にも心身ともに整っているとは言い難い状況であった。

 

タッチラグビーは6人制だが、今日は7人しか来ない。

一人しかリザーブがいないので、ほとんどのメンバーが試合に出つづけるしかないー。

しかも10分ハーフで4試合もあるー。 つまり80分プレーしなくてはならない。

80分とは国際ラグビーマッチの試合時間と一緒である。

我々は本格的なラグビーの試合を1試合やりきらないといけないのと同じ状況なのだー。

 

俺がー。俺がやるしかない。

悲壮な決意を胸に私は皆と「葛飾にいじゅくみらい公園運動場」に向かった。

 

会場に着くと既に多くのチームが練習を行っていたー。

今日は一般社団法人ジャパンタッチ協会(JTA)が主催する「JTAリーグ」が行われるのだ。

(以下JTAホームページより抜粋)

“一般社団法人ジャパンタッチ協会(以下:JTA)では、2019マレーシアワールドカップにて全カテゴリーメダル獲得に向け、より試合ができる環境を構築するため、『 JTA リーグ 』を開催します。

1. 目的
2019マレーシアワールドカップにて全カテゴリーメダル獲得をするため、よりレベルの高い試合ができる環境を構築する。
初心者から、ラガーマン、女子、マスターズと様々なレベルや年代に適した強化環境を構築する。
世界で通用する日本代表選手の発掘、育成を行う国内トップレベルの環境を構築する。
2015年は関東で試験的に開催し、その後関東以外にも全国の各主要拠点で同様のリーグ戦を開催、全国のタッチ強化基盤とする。(本リーグ参加選手から優先的に日本代表を選出する予定です)”

 

 

非常にちゃんとした大会である。

日本代表レベルでプレーする選手を対象とした代表リーグも行われるが、我々はラグビー経験はあるがタッチ初心者でもできるラガー&ディベロップメントリーグで参加した。

 

我々は初心者のくせに余裕をぶっこいて社長出勤である。

 

爽やかで色黒なタッチラグビー主催者のお兄さんに挨拶し、我々は更衣室で着替えてストレッチなどをしていた。

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試合開始前からどことなく諦めが漂う面々。

俺が、俺がやらなきゃ、、、

 

我々がタッチラグビー初心者ということで、主催者の方がタッチラグビー日本代表の「とも」さんを助っ人として送り込んでくれた。

「こんにちは! トモって呼んでください!」

ともさんは爽やかな笑顔が印象的な色黒のピッチピチな24歳で、オーストラリアのタッチラグビーリーグでプレーしており先日帰国したばかりらしい。

ブログをやられているので是非ごらんください!

石川智也ブログ -タッチラグビープレイヤー

 

トモさんにタッチラグビーのイロハを教わる。

タッチラグビーはラグビーの準備運動として知られる「タッチフット」に似ているが独特なルールがある。

攻撃側は5回タッチで交代なのだが、タッチされたプレイヤーはボールを地面においてボールを一回またがないといけない。

そのボールを別のプレイヤー(ハーフ)がピックアップしてリスタートする。

トモさんにタッチされたプレイヤーがすぐにバックしてハーフからパスをもらうといいよ、というアドバイスを頂いた。

翻ってディフェンス側はタッチしたら全員が5mバックしなくてはいけない。

 

これはかなりオフェンスに有利なルールである。

タッチされるだけで相手のディフェンスラインが勝手に5m下がってくれるので、どんどんタッチされに行けばいい。

5回の攻撃の機会があるうちにトライを取ればいいのだ。

5回の攻撃のカードをどのように切っていくかという段取りが求められる非常に戦略的なスポーツであり、知力・体力・時の運が必要である。

 

ボールを使ったアップをしているうちにいい感触を得てきた我々は、満を持してリーグ初戦を迎えた。

 

さぁ、世界を驚かせに行こうじゃないかー。

 

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出典:アサヒ ザ・ドリーム ブランドサイトより

 

ラグビーW杯で活躍して一躍人気者になった五郎丸選手のビールの広告よろしく、我々は強い気持ちを持ってグランドに立った。

 

初戦の相手は我々と同じ年頃のメンバーで構成されており、埼玉の高校ラグビー部の同級生で結成されたチームらしい。

 

対面(トイメン)にはぜってぇ負けねぇー。

 

気合いは十分、あとはグランドで結果を出すだけ。

わざわざ名古屋からこの大会に参加しにきた俺のフレアを見せつけてやるぜ!

 

試合が始まって一分後。

 

なにこれ。 めっちゃエグい。 辛すぎる。

 

試合開始早々に息が上がりまくり。

オフェンスとディフェンスの攻守交代がめまぐるしく、早い試合展開はまるでバスケットボールのようだ。

 

何がキツイってタッチされた後5m下がるのがキツイ。

 

誰かがタッチした後5m下がったら、またタッチにしに行くため常に下がりながらディフェンスしている感じだ。

これはツライ。・・・・

 

オフェンスになるとやたらあせってしまい左に右に走りまくるが、特に効果があるわけでもなく息が上がるだけ。

10分経ってハーフタイムになったが、「いや、もう終わりでいいです!もう後半いいです!」と言いそうになるくらい我々は息が上がっていた。

ナメてたー。 完全にタッチラグビーナメてたー。

 

相手の機動力があるハーフにラインブレイクを連発され、初戦はなすすべなく敗れたー。

 

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プレイ中の他チーム。 これかなりキツイんです!!

 

初戦を終えて、我々は早々にプランの変更を迫られた。

こんな戦い方をしていたらただ疲れるだけだ。体力が続かずにすぐに動けなくなる。攻撃では3回目まではゆっくりと2人だけで攻めて相手のディフェンスラインを下げて体力温存し、4回目の攻撃からラッシュをかけて一気にトライを取りに行こう!

 

名付けて「春の省エネ!大作戦」である。

 

日頃の寝不足・アラサーゆえの体力不足・リザーブが一人しかいない人数不足という「負の3本柱」のハンデを背負う我々にとって、戦うために取れる戦法は限られる。

 

プランを変更して第2戦に挑んだ。

二戦目の相手は四十代中心のおじさまチームで、千葉から来られたらしい。

試合前に

どうも、ハングオーバーさん(我々のチーム名)ですか? いや〜お若いですねぇ! 我々齢も齢なんでお手柔らかにお願いしますね!

とわざわざ挨拶に来てくれるほど友好的で挨拶を重んじる、かつ根回しに長けた純日本的なチームだ。

 

試合前にお互いの記念写真を撮り合うという和気藹々とした親睦イベントを行ったくらいだ。

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チーム、ザ・ハングオーバー! ハイ、チーズ!

和やかな雰囲気の中、試合前のエール交換会は行われた

 

試合はというと、「省エネ大作戦」が功を奏し、かなり楽に、かつ自分たちの思い通りに試合を進めることができた。

一戦目とはうって変わって連続攻撃から続々とトライを決めていくチーム・ハングオーバー。

 

焦って自滅していた攻撃がとてもスムーズに繋がるようになり、

あっ、タッチラグビーやっぱ楽しいわ〜笑

と実感することができた。

 

私の華麗なワンタッチパス(自画自賛)から、大外に開いていたSが豪快にトライを陥れたシーンがハイライトだ。

 

全盛期よりもだいぶ横にシルエットが広がったが、そのトライはスピードスターとして名を馳せた往時の姿を彷彿とさせた。

そのトライは葛飾区に春の訪れを告げる、爽やかな風を吹かせたのだー。

 

二戦目は嬉しい祝・初勝利!!

 

次戦まで時間が空くこともあり、ちょうどランチタイムだったので金町駅前まで行きお昼を食べに行くことにした。

駅前の蕎麦屋に入るチーム・ハングオーバー。

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いや〜タッチラグビーってかなりキツイんだなぁ〜、ハハハ・・・

疲労の色が濃いハングオーバー。 アラサーともなると一度疲れると簡単に体力は回復しないのだ。

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どん! 私は写真の桜そば御膳を頂きました。

ほんのり桜色に染まったそばと季節野菜の天ぷらがマイウーでございました。

 

腹ごしらえが終わり、午後同じチームと更に2試合を戦った我々。

千葉のおじさまチームには勝たせて頂き、埼玉のチームには午前中と同じようにボコされ、2勝2敗という立派な成績でリーグを終えた我々。

 

「アラサーに反復運動は非常にキツイ」という学びを得た我々は、次の大会でより好成績を収めるために、

・日頃の生活習慣を改めることによる基礎体力向上

・定期的な練習を行うことによるタッチラグビースキル向上

この2つをやっていこうと堅く誓った。

 

ついに発足した「チーム・ハングオーバー」の活動にどうぞご期待下さい!

 

ハングオーバー第2章はこれから始まります! まずは練習だ〜い!今年はやるで〜!!

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Fin.