ソール・ライターの写真展を見に行ってきた 〜無視されることは最高の特権である〜

こんにちは。 masakuroyです。

 

5月の陽光が爽やかで心地いいですね。

 

・・・いや、なんか暑くないか!? 

 

あれ、なんか日が落ちたら逆に寒いし!・・・

 

ゴビ砂漠か!

 

@@@

 

急激な気温変化に体調を崩しがちの虚弱体質masakuroyです。

 

さてそんな中、アートをこよなく愛する文化人である自称「アール・デコ派(意味不明)」の私は、前から目をつけていた写真展に行って参りました。

 

それこそ渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「ソール・ライター展」です。

 

ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展|Bunkamura

 

もちろん写真のことなんて全然詳しくない、かろうじてフォトグラファーといえばロバート・キャパ篠山紀信さんくらいしか知らない私はソール・ライターのことは全く知りませんでした。

 

しかし、電車の車内広告でソール・ライター展のポスターを見たときに、一瞬でその一枚の写真が持つ魅力に魅せられたんです。

 

その写真は日常のなんでもない瞬間を切り取ったような写真でした。

 

タクシーに乗る客と運転手を斜め後ろから隠し撮りしたような構図でした。

 

もちろん被写体は写真を撮られていることなんて気づいてませんし、運転手の顔も、客の顔も影で隠れていて表情さえ読み取れません。

 

ただ、車内のつり革をつかむおそらく初老なのであろう客のゴツゴツした手の甲だけにはっきりとピンとがあっています。

 

 

ただそれだけの写真です。 しかし私はその写真に強く興味を惹かれました。

 

 

なぜだか理由はわかりませんが、私の中の感性の扉を力強くノックされたのです。

 

その理由を確かめに私はソール・ライター展に足を運びました。

 

 

渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムの地下1階で開催されています。

 

スクランブル交差点とかセンター街のあたりは人だかりでゴミゴミしていますが、

 

松濤のあたりまでくると人通りも落ち着いてきて、渋谷もまた別の表情を見せます。

 

 

ソール・ライターのイラスト写真パネルでしょうか?

イラストがなんか可愛いですね!

 

ソール・ライターはネコ好きだったそうです。

 

飼っていたネコの名前はレモンちゃん!  かわいいな!

 

 

ソール・ライターの代表的な写真の構図。

 

構図のほぼ八割が天蓋で覆い隠されています。

 

この構図だけでソール・ライターが一風変わった視点から写真を撮っていたことがわかるでしょう。

 

ソール・ライターはファッション誌のカメラマンとして第一線で活躍しますが、商業写真とは距離を置き、自分が撮りたい写真を追求していきます。

 

その後、忘れられた存在になりますが、ドイツの出版社が2006年にソール・ライターの写真集を出版したことでその天性の色彩感覚・叙情性が再評価され、注目を集めます。

 

2013年には彼の生涯を題材にした映画も作られます。

 

映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』公式サイト

 

ソール・ライターは、ユダヤ教のラビの家に生まれ神学校に通いますが、画家になりたいという夢を隠し持ち、単身ニューヨークに向かいました。

 

そこで表現主義の画家リチャード・プセット・ダートと出会い、彼の影響で写真に関心を持つようになったと言います。

 

才能を見出され、ファッション誌「ハーパーズ・バザー」誌でファッションカメラマンとしてのキャリアをスタートしますが、それは彼の本当に撮りたい写真ではなかったと言います。

 

ハーパーズ・バザーの高名な女性編集者に、「ハーパーズ・バザーでの一年より、〇〇(画家の名前)の一枚の方が価値がある」と言い放ち、不興を買ったという逸話があるくらいです。

 

彼は後期印象派の画家や、日本の浮世絵におおいに影響を受け、敬愛していたため彼の写真にもその影響が見て取れます。

 

『写真家 ソール・ライター展』をレポート NYの片隅で人知れず写真を撮り続けた、伝説の写真家の秘密に迫る

 

ソール・ライターは「雨粒に包まれた窓の方が、私にとっては有名人の写真より面白い」という言葉を残しています。

 

彼は華美な世界よりも、身近で、素朴な世界に魅力を感じていたのでしょう。

 

彼の真骨頂が発揮される写真は、市井の人々のなんでもない瞬間を切り取った構図が多いです。

 

中には表情もわからないくらい遠景だったり、背中だけだったり靴の先だけを映した構図もあります。

 

しかし、ソール・ライターの関心は一貫して「名もなき人」や「人がいる風景」に向かっているように感じました。

 

人間を愛していたんですね。

 

彼は自分の生活圏内にある、なんでもない日常風景の中に何かしらの神秘性を見出そうとしていたのではないかと想像を膨らませてみます。

 

彼の残した言葉をもっと紹介しましょう。

 

見るものすべてが写真になる

 

写真家からの贈り物は、日常で見逃されている美を時折提示することだ

 

人間の背中は、正面より多くのものを私に語ってくれる

 

私が写真を撮るのは自宅の周囲だ。神秘的なことは馴染み深い場所で起きると思っている。

なにも、地球の裏側まで行く必要はないんだ。

 

このような彼のポリシー・思想をもとに取られた写真は、決して加工されたり誇張されたものからは感じ取ることのできない、静謐で、嘘のない一瞬の生の輝きを感じさせます。

 

ある意味シュールとも捉えられます。

 

彼の写真を見ていて、私はある画家を思い出しました。

 

その画家とはフランドル時代の異端の画家・ヴィルヘルム・ハンマースホイです。

 

【作品まとめ】静謐と不穏 ヴィルヘルム・ハンマースホイ(Vilhelm Hammershøi)-NAVERまとめ

 

ハンマースホイの作品の持つ独特の静けさとシュールさを、私はソール・ライターの写真の中にも感じ取っていました。

 

ソール・ライターがハンマースホイに何かしら影響を受けていたのか知る由もありませんが、その共通点が私には興味深く思えました。

 

ソール・ライターの写真展を見終える頃、私はここに来たかった理由に行き当たりました。

 

私は、やはり一風変わったもの・シュールな世界が好きなのだと。

 

誰しもが絶賛するようなオーソドックスなものよりも、アウトサイダーであったり、オルタナティブなもの、マイノリティーなもの関心を寄せているのだと。

 

 

私の中で、このことは自信から確信に変わりました。

 

こんにちは、松坂大輔です。(違う)

 

 

私の人生のテーマがようやく定まりました。

 

それはアウトサイダー・オルタナティブなカルチャーを追求する」というものです。

(なんのこっちゃ)

 

わけがわからなくなってきたのでこの辺で筆を置くこととします。

 

それでは、ではでは!

 

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